日本企業のM&A戦略:海外企業買収のポイント 大失敗しない為の必須チェック項目

日本企業のM&A戦略:海外企業買収のポイント 大失敗しない為の必須チェック項目

All rights reserved by onegai kaeru
All rights reserved by onegai kaeru

海外M&Aの正攻法とは

大成功したM&Aの話は?

先日、M&Aをせずに1兆円企業になった日本企業の記事をみました。それが記事になること自体が、海外進出、企業規模拡大にM&Aはもはや必須の戦略と言えるでしょう。 

 

世界的な有名企業のM&A失敗例を考えながら 日本企業が海外企業を買収する際に成功するためには、戦略的な計画と徹底的なデューデリジェンスが不可欠です。

 

ここでは、成功するために考慮すべき重要なポイントと実際の事例から学ぶ教訓について詳しく説明します。

 

M&Aの代替案を考え続けること

 

M&Aありきの戦略は失敗します。M&Aを通じて競争相手を超えることを目指すだけでなく、他の戦略的オプションも検討することが重要です。たとえば、特定のビジネスユニットを売却して新たな市場に投資することや、共同事業やパートナーシップを模索することも有効です。これにより、買収に伴うリスクを低減し、企業の柔軟性を高めることができます。

 

バックアッププラン

 

肌感覚では、約70%から90%M&Aが期待通りに成功しないと考えます。日本企業の海外企業買収ではいい話をききません。例えば、日本郵政が豪州トールを買収しましたが結果的に4000億円ほどの損失をだすことになりました。M&Aを海外で加速してきたサントリーもほぼ失敗ばかりと感じられます。一生懸命にCMをうっていたオレンジーナ、どうしちゃったんでしょうか?

失敗した場合のバックアッププランを用意しておくことが不可欠です。撤退戦略を含む柔軟な計画を立てることで、損失を最小限に抑え、迅速に新たな戦略に転換することが可能となります。

 

文化的適合性の問題

 

異なる企業文化が融合することはしばしば困難を伴います。文化の違いが信頼の欠如を引き起こし、統合プロセスの妨げとなることがあります。例えば、スプリントとネクステルの合併では、スプリントの官僚的な文化とネクステルの起業家的な文化の違いが問題となり、次第に競争力を失いました。

この教訓から、相手企業の文化を尊重し、融合を円滑に進めるためのコミュニケーション戦略を立てることが重要です。

 

経営陣のコミットメント

 

M&Aの成功には、経営陣の強いコミットメントが不可欠です。シニアマネジメントを巻き込み、全員が成功に向けて協力する環境を作ることで、統合のギャップを防ぐことができます。また、取引の進捗を経営陣が把握し、問題が発生した場合には迅速に対応できる体制を整えることが重要です。

 

目標、戦略、指標の明確化

 

M&Aの目的、達成方法、成功指標を明確に定めることが重要です。たとえば、クエーカー・オーツがスナップルを買収した際には、ブランド価値の過大評価と管理の失敗により、買収価格13億ドルに対して損失が発生しました。このような失敗を避けるために、現実的な期待を持ち、買収の動機やリスクを理解し、強固な計画を立てることが必要です。

 

ガバナンスと意思決定構造の明確化

 

買収後の統治構造を明確にし、誰が何に責任を持つかを定めることが重要です。これにより、指揮命令系統が明確になり、全員が声を上げられる環境を整えることができます。また、責任の所在を明確にすることで、業務の重複や怠慢を防ぐことができます。

 

データの正確性と分析

 

十分な情報収集と適切な分析を行い、誤ったデータや分析に基づく判断を避けます。デューデリジェンスの段階から徹底的にデータを確認し、適切なソフトウェアを利用して情報を安全に共有します。海外、特に途上国の企業のデータはあってないようなものです。データを要求してから、相手側が適当に作ってくるといったことは、よくあります。

 

キーパーソンの保持

 

買収後に重要な人材を保持することが成功の鍵です。例えば、AOLとタイム・ワーナーの統合では、文化の違いと人材の流出が問題となり、失敗に終わりました。相手企業の才能を把握し、リーダーシップチームを尊重し、従業員が満足できる環境を提供することで、離職を防ぐことが重要です。事業運営に必要なキーパーソンだけを保持することです。

経験上、買収の条件として、オーナーの個人的友人や子息を買収後も雇用するように言われることもあります。いついつまで雇用する必要があるか、給料はいくらかといったところも含めて、そういった話は慎重に検討します。

 

適正な価格設定

 

特に日本企業の弱いところはここではないでしょうか?企業の価値(EV)を適切に評価し、過剰な支払いを避けます。日本郵政にせよ、サントリーにせよ、払い過ぎだったと思います。買われる側からすれば、外国企業(日本企業)が買ってくれるのだから、地元の企業より良い価格で買ってもらいたいという気持ちが強いです。つまり、日系企業は吹っ掛けられます。数字に基づく議論で、吹っ掛けられる程度を低減していきます。本当にM&A必要な企業である場合、ある程度吹っ掛けられた値段で買う必要があります。これは、日本企業が外資企業に買われる現場でも、良くありました。日系企業は外資に吹っ掛けます。

ここで事業のシナジーの見極めが問われるのです。

ペン・セントラルの合併では、コスト削減に過度に依存した結果、破綻に至りました。交渉を管理し、事前に設定した限度内で取引を行うことが重要です。

地元では買える企業がない規模で、どうしようもなくなった巨大企業を買収することです。吹っ掛けようにも、地元では誰も買えない企業であれば、値下げも可能です。但し、そういった良い話は光速で進める必要があります。良い話は、すぐに広がりますので、話を聞きつけた別の国の更に巨大な企業がある程度ふかっけられた値段で買ってしまうかもしれません。

 

外部要因の管理

 

2018年時点でコロナの発生、現在のウクライナの戦争やガザの戦争をだれが予測していたでしょうか?コロナ禍の直前に、ホテル・レストランチェーンを買収した企業もありました。買収に際しては、M&Aアドバイザリー企業は、華やかな行政期予測をプレゼンテーションしていたに違いありません。さて、彼らはコロナになって、その責にをとったのでしょうか?とるわけがありません。結局は、買収した企業側が全てのリスクを負ったのです。

経済状況や規制の変化など、制御不能な外部要因に対する注意を払い、最悪のシナリオを想定して計画を立てます。

 

事例からの学び

 

以下は、M&Aの失敗事例から学ぶべきポイントです:

 

スプリントとネクステル:37.8億ドルの買収は文化の違いと統合の問題により、競争力を失い、30億ドルの減損を計上しました。

ペン・セントラル:合併後の経営管理の失敗により、企業は破綻しました。

クエーカー・オーツとスナップル:過剰な支払いと管理の失敗により、大きな損失を出しました。

- AOLとタイム・ワーナー:経済の変化や企業文化の違いにより、統合に失敗し、大規模な減損を計上しました。

 

結論として、世の中の超が付くほどの有名世界的企業でもM&Aに失敗するときは失敗します。会社が傾くようなリスクをはらむM&Aは絶対に避けるべきです。海外M&Aについては、失敗した話ばかり聞きます。しかし、それは海外のM&Aが失敗ばかりというわけでは全くないのです。毎年、数多くのM&Aが行われています。成功した話は表に出てこないものです。

 

日本企業が海外企業を買収する際には、上記のポイントを考慮し、徹底的なデューデリジェンスを行い、文化的な適合性や経営陣のコミットメントを重視することで、成功の可能性を高めることができます。人為的なミスを最小限に抑え、コントロール可能な要素に焦点を当てることで、M&Aの成功を確実にしましょう。成功するM&Aは、企業の成長と競争力の強化に大きく貢献します。

 

弊社は、海外M&Aサポートをターゲット企業を探し出す段階からデューデリジェンス、買収まで一気通貫で行っています。

例えば、「ベトナムのホーチミンで買収できそうなホテルはないか?」「ドイツの、メーカで売上が○○くらいで、買収できそうなところはないか?」といった問い合わせで、ターゲット企業を探し出します。

 

ご相談内容によっては返答にお時間をいただく場合や返答しかねる場合もございますので、ご了承ください。また、営業メールへの返答は行っておりません。

Please enter the code:

Note: Please fill out the fields marked with an asterisk.

Write a comment

Comments: 0