何故、海外企業も事業譲渡先として考えるべきか?企業価値の考え方

何故、海外企業も事業譲渡先として考えるべきか?企業価値の考え方

事業売却・譲渡の相談を受けています。

 

傾向として、日本だけで事業をしてきた経営者は、日本企業に売却・譲渡したがります。そして、事業のドメスティックでも、海外系経験を積んだ経営者は、外国企業でも躊躇なく、譲渡先として考えているように感じます。

 

何故、海外企業も事業譲渡先として考えるべきか?注意点、企業価値の考え方について考えます。

大きな理由は、日本の企業よりも高く事業を買ってくれる可能性があります。但し、外国企業への譲渡は、日本の企業への譲渡に比べて、手間・費用がかさむ傾向にありますので、要注意です。

 

経験上、ある日本企業の経営者からの相談で、海外の企業へ日本の企業が払うレベルの2,3倍で売ろうとするケースがありました。相手は、Fortune500に入る名だたる企業でした。日本の経営者からするとお金をたくさん持っている外資企業なら、払ってくれると思ったのでしょう。確かに、この外資企業は十分な資金を持っていました。しかし、その外資企業は、日本の企業のそれより、もっと厳密に企業価値を判断していおり、結果的に、M&Aは見送りになりました。

 

1. 評価と準備:

   - 会社の評価を行い、現在の価値を把握します。これには財務状況、資産、顧客ベース、競合状況などが含まれます。

   - 会社の強みや弱みを明確にし、売却前に必要な改善策を検討します。

 

2. 法的手続き:

   - 法的文書や契約に対する確認を行い、売却に際して問題がないことを確認します。

   - 知的財産権や特許、商標などの権利が適切に登録されていることを確認します。

 

3. 買い手の探索:

   - 会社の売却を検討する買い手層を特定します。これには他の企業、投資ファンド、個人投資家などが含まれます。

 

4. 交渉:

   - 複数の買い手と交渉を行い、最適な条件で売却契約を結びます。価格、支払い条件、引継ぎ計画などを含む契約の詳細を決定します。

 

5. デューデリジェンス:

   - 買い手が会社の財務状況や業務について詳細な調査(デューデリジェンス)を行います。これは通常、法的、財務、業務の面で行われます。

 

6. 契約締結とクロージング:

   - 最終的な契約書を作成し、売却手続きを完了させます。売却金の受領と会社の引継ぎ手続きを行います。

 

7. アフターサービス:

   - 売却後も関係を維持し、必要な場合には買い手に対してサポートを提供することで、スムーズな移行を促進します。

 

 

企業価値(Enterprise Value、EV)の計算は、M&A(合併と買収)の重要な要素です。企業価値は、企業の株式価値だけでなく、債務やキャッシュ、投資、その他の金融アクティビティも含んだ、企業全体の実質的な価値を示します。以下に、一般的な企業価値の計算方法を示します。

 

1. 企業価値の基本式:

 

企業価値Enterprise Value (EV) = 時価総額Market Capitalization + 総負債Total Debt - 現金及び現金同等物 Cash and Cash Equivalents

 

- Market Capitalization(時価総額): 企業の株式の現在の市場価値。株式の時価総額は、株式の現在の価格を発行済み株式数で掛け算したものです。

 

- Total Debt(総負債): 企業の短期および長期の債務の合計額。これには銀行借入金、債券、その他の負債が含まれます。

 

- Cash and Cash Equivalents(現金及び現金同等物): 企業が持つ現金、預金、短期証券など、即座に使用可能な現金に換金可能な資産。

 

2. 他の要素の考慮:

 

- Minority Interests(少数株主持分): 他の企業が所有する対象企業の一部の株式を持つ場合、その価値を加えます。

 

- Preferred Stock(優先株式): 優先株主への支払いを考慮に入れる必要があります。

 

- 投資(Investments): 他の企業やプロジェクトへの投資金額も考慮に入れる必要があります。

 

3. 財務指標を使った企業価値の評価:

 

- EBITDA(Earnings Before Interest, Taxes, Depreciation, and Amortization): EBITDAは、企業の稼ぎ手の健全性を示す指標で、企業の現金利益を表します。EV/EBITDA比率は、企業価値をその年間EBITDAで割ったもので、企業間の比較に広く使用されます。

 

- P/E比率(Price to Earnings Ratio): 企業の株価を一株当たり利益で割った比率。これは、株式の評価に広く使用されますが、単体では企業全体の価値を示すものではありません。

 

- DCF(Discounted Cash Flow): 将来のフリーキャッシュフローを現在価値に割り引いて評価する方法。これは、将来のキャッシュフローを予測し、それを現在価値に換算して企業価値を算出します。DCFは、将来のキャッシュフローの不確実性を考慮に入れるので、より精密な評価方法です。

 

これらの方法は、企業価値を評価する際の基本的な手法です。ただし、実際のM&A取引では、市場状況、業界の特性、企業の成長見通し、競合他社の評価、リスクフリーレート(無リスク金利)など、多くの要因を考慮する必要があります。専門の財務アドバイザーや評価専門家の協力を得ることが、正確な企業価値の算出には不可欠です。

 

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